haori de TiTi 2019 collection Salon de TiTi-文化を奏でる女性たちへ-
織物の歴史を紐解くと、先史時代に遡り、古代エジプトで描かれた織り縦糸錘竪機械織りは、旧石器時代には既に行われていました。普段目にすることの多い化学繊維の歴史は150年程度と短く、天然繊維の歴史は、5000年前から人類と共に歴史や文化を紡いできました。本コレクションでは、天然繊維であるシルクを中心に日本の精緻な織物の可能性に取り組んでみました。
織物とモードが結びついたのは、ルイ14世の絶対王政の下で宮廷文化が黄金期を迎え、男性女性ともに豪華にして風雅なフランス宮廷のファッションが、絹織物産業の発展と共に開花してゆきます。
その後、芸術愛好家や一流の貴族たちが集い、教養人の会話や議論が繰り広げられるサロン文化が隆盛し、学問や政治、哲学、芸術についての会話を楽しむようになっていきます。才気ある貴婦人たちは、父や夫に絶対服従すべきという女性観のなかにありながら、自らサロンを主宰し、文化を体現することで洗練され、時代をリードしてゆきます。
当時の女性が現代女性と違わぬ自由な精神と勇気をもって文化創造に情熱を注ぎ、輝きを放った姿に畏敬の念を感じます。今回のコレクションは文化を奏でる女性たちへのオマージュです。
- Design
- 「haori de TiTi」(ハオリドゥティティ)は、現代の多様化するライフスタイルにおいて、時代や様式にとらわれないデザインを目指しています。緩やかなドレープを融合させ、着る人の着こなしで羽織のように身体になじみ、人それぞれの新しいフォルムが生まれるのが特徴です。
- Cutting & Detail
- 東洋の美を代表するシノワズリやジャポネズリにみられる直線的なシルエットと、洋の美の特徴である曲線のシルエットが融合したフォルムは、高度な技術を要する立体裁断によって構築されています。袖ぐりからブラウスを覗かせた"プールポワン"袖口に切込みを入れた"グルヴェ"など、遥かなる歴史の中で培われたディテールを現代風にアレンジするなど、手作業による繊細な仕上げが施されています。何度も仮縫いを繰り返し完成した作品はクチュールの仕上がりです。